講義概要
密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算の基礎と応用に関して講義を行う。 固体における物質の凝集機構と電子状態から議論を始め、現実物質の物理・化学的性質の包括的な理解の枠組みを与える密度汎関数理論と線形応答理論の基本概念及びその定式化を解説する。
また、密度汎関数理論の応用として、構造の安定性、反応座標解析、 電子伝導特性、光との相互作用、内殻励起現象等に関して応用事例と共に議論する。
第一原理計算プログラム OpenMX のチュートリアルも実施する予定である。
講義スケジュール
※2025年度は、オンラインにて開講いたします。
| 2026年2月開講(90分×8回) | |
|---|---|
| 2月 10日(火) (14:00-17:15) | 第1回、第2回 |
| 2月 18日(水) (14:00-17:15) | 第3回、第4回 |
| 2月 25日(水) (14:00-17:15) | 第5回、第6回 |
| 3月 4日(水) (14:00-17:15) | 第7回、第8回 |
講義内容
| 講義内容(若干の内容変更の可能性あり) | ||
|---|---|---|
| 第1回 | 物質の構造と凝集機構 | 簡単な分子の計算事例、ビリアル定理と凝集機構の関係、Friedel モデルによる遷移金属の構造傾向の理解、モーメント定理と局所構造の関係 |
| 第2回 | 結晶構造とバンド構造 | DOS とグリーン関数・リカージョン法、Born-von Karman 条件による周期境界条件、Bloch の定理・空格子近似と「ほとんど自由な電子」近似、直交化平面波の方法、結晶運動量、ワニエ関数、ベリー接続・曲率 |
| 第3回 | 密度汎関数理論 I | Hartree-Fock 法、第二量子化の方法・ジェリウムモデル・ジェリウムモデルにおける交換相関エネルギー•Thomas-Fermi モデル、Lindhard 応答関数 |
| 第4回 | 密度汎関数理論 II | Hohenberg-Kohn の定理、電子密度の v-および N-表示可能性、Levy による制約条件付き最小化、Kohn-Sham の方法、Kohn-Sham 法における全エネルギーの変分特性、交換相関エネルギー: LDA 及び GGA、DFT-KS 法における変分特性 |
| 第5回 | 密度汎関数理論の実装 | Kohn-Sham 方程式の数値解法、OpenMX の実装、LCPAO 法、基底関数と全エネルギーの計算、擬ポテンシャル法、DFT 計算の再現性 |
| 第6回 | 密度汎関数理論の応用I | 構造最適化、第一原理分子動力学法: 温度制御及び圧力制御、NEB 法の原理と反応経路解析、オーダーN・大規模第一原理電子状態計算の手法 |
| 第7回 | 密度汎関数理論の応用II | 拡散/バリスティック伝導、非平衡グリーン関数法、量子化コンダクタンス、DFT-NEGF 法、Boltzmann 方程式と熱電特性 |
| 第8回 | 密度汎関数理論の応用III | 内殻電子の絶対束縛エネルギー計算と XPS、バンドアンフォールディング法によるバンド構造の解析、X 線内殻励起吸収スペクトルの第一原理計算、線形・非線形光学応答の第一原理計算 |
定員
100名程度
受講対象および費用
■受講対象:
1)本プログラム「高度人材育成事業」にお申込みの企業(=連携機関)の方(有料)
※「高度人材育成事業」のお申込みに関する詳細については、こちらをご参照ください。
2)学部学生、修士・博士課程学生、大学・国立研究機関等に所属する研究者等(無料)
■費用:
1)企業(営利団体)にご所属の方:受講者1名あたり90,000円(消費税別途)
※「高度人材育成事業」の参加費として申し受けます。
2)大学、国立研究機関等(非営利団体)にご所属の方:無料
受講にあたり必要な知識
学部4年生程度の量子力学及び固体物理学の知識
受講に際しての諸注意
・原則、全回参加が望ましいが、部分的な受講も可。
・講義資料は参加申込者のみに配布。チャットツールSlackにて質問を受け付けます。
受講申込期限
2026年 2月 4日(水)
事前申込制。受講生が定員を大幅に上回る場合は、
1)連携機関としてお申込みの企業の方、
2)博士課程学生、
3)修士課程学生および学部生、
4)大学・国立研究機関等に所属する研究者等の優先順位とする。
お申込方法
大学・国研等にご所属の方はオレンジのボタンより、連携機関としてお申込みの企業の方は緑のボタンよりそれぞれお申込みください。(受講申込はお一人ずつお願いいたします。)
※今年度から、企業の方向け入会申込書のご提出は不要になりました。
お支払い方法
後日、請求書をご郵送いたしますので期日までにお振込ください。
主催
主催:東京大学物性研究所 計算物質科学高度人材育成・産学マッチングプログラム(MP-CoMS)
後援:

